ビター・シュガー

「えー?淳史さん童顔じゃん。全然おっさんぽくないよ?」

「お前ね、それは褒めてるって言わねぇんだよ」


こいつは、人の気にしてることをずけずけと…。
でも、なんでか嫌な気持ちにならないのは、やっぱり好きだからってことで…。


「なぁ、桃?」

「なぁに?」

「次のテストでさ」

「うん?」

「満点取ったら…どっか出掛けよーぜ。ドライブ連れてってやるよ」


にかっと笑うと、彼女は一瞬大きな瞳をぱちくりとさせてから、ぱぁーっと笑顔になった。


「えー!ほんと?ほんとー?!」

「なんだよ、嫌?」

「嫌じゃない!そうじゃなくって!!」

「なくて?」

「すっっごい、楽しみ!わぁー…ドライブかぁ…これは気合い入れて勉強しないとね!」

「くくっそうだな。というわけで、今日から俺は鬼になります」


その言葉と共に、俺は彼女の後ろにすくっと立った。
それに気付いた彼女は、不穏な空気になるかもしれないことと察知して、慌てたように俺の方を振り返った。

…こういう時だけ、敏感になるの、どうにかなんないのかね?


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