ビター・シュガー
「そんなこと、じゃないもん。淳史さんとの約束、掛かってるんだもん…」


あー…もう…。
こいつ、どんだけ可愛いんだよ。


「あー…悪い。言い方悪かったな。けど、ちゃんと自習してるんだろ?」

「うん…」

「んなら、大丈夫だろーよ。自分の実力認めんのも、大事だぞ?」


いつものように髪を撫ぜる。
彼女は大人しくされるがままになって、瞳を閉じた。


今、キス…出来りゃ、いいのに。


けど、それをしたら、今のこの薄氷みたいな関係は容易く崩れてしまうから。


俺は、自分に引き寄せようとした手を下ろして、へらり、と微笑んだ。


「お前なら、出来る。なんたって、この俺様が直々に教えてやってたんだからな!」


どんっと胸に拳を当ててみせると、しみじみと俺の顔を見た彼女はくすりと笑って、


「淳史さん…自信過剰。てか、何その俺様キャラ」


と、言ってきた。


その顔を見て、俺は決めた。
やっぱり、何があっても……。


俺は、俺の想いのまま行動しよう。

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