ビター・シュガー
「いいよな、今時の学生さんは。なーんの悩みもなくて」

「!ひど!悩みなら、あるもん!」

「悩みがないのが悩みだろー?」

「もー!他の人に勉強見てもらうからいい!」


ばたんっ


そう盛大な音を立てて、彼女がこの部屋から居なくなる。
それを寂しいなとか思いつつ、俺は苦笑いをして煙草に火を付けた。
そして、ムースでほんの少しだけまとめていた髪をくしゃりと撫でてから、


「あぁ、俺…あいつのことが好きなんだわ…」


と、はっきり自覚をした。

恋をするきっかけなんで、正直どうでもいい。
だって、多分これは俺の一目惚れなんだから。


好きだから、構いたい。
色んな顔を見て、幸せにしてやりたい。


そう思うのは、誰だって同じだろう?


だけど、一番の問題は…。


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