ビター・シュガー
彼女が俺を「男」として見てないこと。
現に、今だって人のベッドの真ん中に丸まって寝ている。
危機感がない。
それが、頭が痛いくらいの証拠だ。
「おい。桃。起きろ。何人の部屋に勝手に入ってんだ」
「んー?あれ?淳史さん?…だめだよー。女の子の部屋に黙って入ってきちゃ」
「ばかたれ。お前寝惚けるのもいい加減にしろ。此処は俺の部屋だっつーの」
「…へっ?!」
がばっ
そう大袈裟に勢い良く起きた彼女は、一瞬目眩を感じたのか、こめかみ辺りに手を当ててぐるりと部屋の中を見つめる。
「桃の、すけべ」
「っ!ち、ちが!」
「俺のいない部屋で、なにしてんの?やらしーなぁ〜」
わざと、怒らせるようなことを言って困らせる。
子供か、俺は。