ビター・シュガー

彼女が俺を「男」として見てないこと。
現に、今だって人のベッドの真ん中に丸まって寝ている。
危機感がない。
それが、頭が痛いくらいの証拠だ。


「おい。桃。起きろ。何人の部屋に勝手に入ってんだ」

「んー?あれ?淳史さん?…だめだよー。女の子の部屋に黙って入ってきちゃ」

「ばかたれ。お前寝惚けるのもいい加減にしろ。此処は俺の部屋だっつーの」

「…へっ?!」


がばっ

そう大袈裟に勢い良く起きた彼女は、一瞬目眩を感じたのか、こめかみ辺りに手を当ててぐるりと部屋の中を見つめる。


「桃の、すけべ」

「っ!ち、ちが!」

「俺のいない部屋で、なにしてんの?やらしーなぁ〜」


わざと、怒らせるようなことを言って困らせる。
子供か、俺は。


< 6 / 31 >

この作品をシェア

pagetop