ビター・シュガー
でも、彼女はあたふたと顔を真っ赤にさせて挙動不審になっていて…ついついS的な思いがむくむくと湧き上がってきてしまうんだ。
それを一旦心に戻して、にこりと笑う。


「もーも。ごめん。茶化して。…もー言わないから。だから、こっち来て?」


ぽんぽんと、ベッドから少し離れたソファーに座った自分の横を叩くと、彼女は恥ずかしそうに、ゆっくりと歩いてきた。


「もー。淳史さんなんか嫌い。最悪」

「はいはい。そんなにツンツンすんなって。ほら、ちゃんとこっち座って」

「ばかー…」


口ではそう恨めしそうに言うくせに、彼女の行動は何時だって素直だ。
俺は、そんな彼女が愛しくて仕方がなくて、彼女のサラサラの髪をくしゃくしゃと撫でる。

「やーめーてー!髪が痛むでしょー?」

「やだ、むり。」

「うう。なんで淳史さんって、そんなに意地悪なの?」

「勝手に優しいって言ったの、桃じゃん。俺じゃねぇよ?」

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