ビター・シュガー
ひとしきり彼女の髪を愛でて満足した俺は、はたと自分が帰って来たばかりでスーツのままだったことに気付いた。
そこで、さっき仕舞ったばかりのS心が芽生えてしまう。



ばさり


「へ?ちょ、ちょっとー!なんで脱ぐの?!」

「はぁ?そりゃ着替えたいからに決まってんだろ。何時までもスーツ着てんのやなの。シワになるし」

「だからって、何も私の前で着替えなくってもいいじゃん!」

「え?俺の生着替え見たいから部屋に居たんじゃないの?」

「ちがーう!もうもうもう!出てく!」

「へいへい」


今までにないくらい真っ赤になった彼女を見て、面白くなった俺は、くくっと笑って部屋から出ていく彼女の後ろ姿を見つめた。


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