8月8日の約束…
君は僕と会わない方がよかったのかな
崩壊
━━2019年4月。
年も明けて、悠理達は高校三年生になった。
大学受験などの進路を確定する時期でもあった。
(綾乃ちゃんからも自立しないと…)
と考えていた悠理は、大阪の大学を受験しようと思っていた。
━━正直、大阪の大学で学びたい学科がある訳ではなかった。
きっかけは《聖来》だった。
今まで《悲しくなるから》と避けてきた、《大阪》や《たこ焼き》にあえて触れる事で、《聖来の死》を受け止めようとしていたのだ。
紗耶やさくら達共、色々と話せるようになって来た。
アルバイトも慣れて来た。
受験の関係で、アルバイトは夏休みが終わるくらいまで続ける事にした。
去年の6月に遥香と出会って10ヶ月…。
悠理は、随分と前向きになれた。
遥香には感謝してもしきれないくらいだった。
━━しかし、遥香とは去年のクリスマスにお台場で遊んで以来、会えていなかった。
悠理もアルバイトが忙しく、遥香の方も色々と用事があるようで、電話やメールも殆ど出来ていない。
━━2019年5月のある日…。
丁度、ゴールデンウィークが明けた頃…。
久し振りに、悠理と遥香は会った。
いつもの公園のいつものブランコで、二人は話していた。
ゴールデンウィーク中、悠理はアルバイトでミスを多発してしまっていた。
━━悠理は、どちらかといえば運動は得意な方ではなく、機敏な動きは苦手だった。
その為、お店が混んで忙しくなると焦ってしまい、ミスをしやすくなるのだ。
俗に言う《テンパって》しまうのだ。
「お店、忙しかった?」
と、遥香が訊いた。
「うん、めちゃくちゃ混んでた。」
と、悠理は苦笑した。
「大変そうだね…。」
と、遥香は言った。
「ミスばっかりしてたよ…。」
と、悠理は言った。
「大丈夫?」
心配そうに遥香が訊く。
「結構、精神的に参ってるよ…。」
悠理は溜め息をついて、
「もう、死にたい…。」
と言った。
━━別に本当に死にたい訳ではない。
多くの人が疲れた時や嫌な事があった時に、《死にたい》と言う、冗談程度の言葉である。
「……でよ…。」
と、遥香は呟くように言った。
あまりも小さく呟いたので、前半が聴き取れなかった。
「ん?」
悠理は遥香を見た。
「簡単に…言わないでよ…。」
と、遥香の声は震えていた。
「え?」
悠理には、意味が分からなかった。
「簡単に、死にたいとか言わないでよ!」
遥香は怒鳴るように言った。
「!?」
悠理は、突然の遥香の大声に驚きを隠せなかった。
「世の中には、生きたくても生きれられない人もいるんだよ!」
遥香の頬を涙が伝った。
「ご、ごめん…。」
悠理は頭を下げてから、
「別に…そんなつもりじゃ…。」
と言った。
「じゃあ、どんなつもり?」
遥香は、悠理をキッと睨むと、
「どんなつもりで軽々しく口に出来るの?」
と言った。
「ごめんなさい…。」
悠理は、謝る事しか出来なかった。
「生きたくても生きれられない人も沢山いるのに、簡単に死にたいとか口にしないでよ!」
遥香は泣き叫ぶように言った。
「ご、ごめんなさい…。」
悠理は、ひたすら謝った。
「…嫌い…。」
遥香は声を震わせながら、
「悠理なんか、大っ嫌い!!」
と叫んだ。
「え?」
悠理は遥香を見つめた。
そして遥香は、走り去ってしまった…。
━━取り残された悠理は、唖然としていた。
「ど、どうしよう…。」
悠理は困った顔をして、
「遥香を怒らせちゃった…。」
と呟いた。
その日を最後に、遥香は電話も出なくなり、メールの返信もなくなった…。
年も明けて、悠理達は高校三年生になった。
大学受験などの進路を確定する時期でもあった。
(綾乃ちゃんからも自立しないと…)
と考えていた悠理は、大阪の大学を受験しようと思っていた。
━━正直、大阪の大学で学びたい学科がある訳ではなかった。
きっかけは《聖来》だった。
今まで《悲しくなるから》と避けてきた、《大阪》や《たこ焼き》にあえて触れる事で、《聖来の死》を受け止めようとしていたのだ。
紗耶やさくら達共、色々と話せるようになって来た。
アルバイトも慣れて来た。
受験の関係で、アルバイトは夏休みが終わるくらいまで続ける事にした。
去年の6月に遥香と出会って10ヶ月…。
悠理は、随分と前向きになれた。
遥香には感謝してもしきれないくらいだった。
━━しかし、遥香とは去年のクリスマスにお台場で遊んで以来、会えていなかった。
悠理もアルバイトが忙しく、遥香の方も色々と用事があるようで、電話やメールも殆ど出来ていない。
━━2019年5月のある日…。
丁度、ゴールデンウィークが明けた頃…。
久し振りに、悠理と遥香は会った。
いつもの公園のいつものブランコで、二人は話していた。
ゴールデンウィーク中、悠理はアルバイトでミスを多発してしまっていた。
━━悠理は、どちらかといえば運動は得意な方ではなく、機敏な動きは苦手だった。
その為、お店が混んで忙しくなると焦ってしまい、ミスをしやすくなるのだ。
俗に言う《テンパって》しまうのだ。
「お店、忙しかった?」
と、遥香が訊いた。
「うん、めちゃくちゃ混んでた。」
と、悠理は苦笑した。
「大変そうだね…。」
と、遥香は言った。
「ミスばっかりしてたよ…。」
と、悠理は言った。
「大丈夫?」
心配そうに遥香が訊く。
「結構、精神的に参ってるよ…。」
悠理は溜め息をついて、
「もう、死にたい…。」
と言った。
━━別に本当に死にたい訳ではない。
多くの人が疲れた時や嫌な事があった時に、《死にたい》と言う、冗談程度の言葉である。
「……でよ…。」
と、遥香は呟くように言った。
あまりも小さく呟いたので、前半が聴き取れなかった。
「ん?」
悠理は遥香を見た。
「簡単に…言わないでよ…。」
と、遥香の声は震えていた。
「え?」
悠理には、意味が分からなかった。
「簡単に、死にたいとか言わないでよ!」
遥香は怒鳴るように言った。
「!?」
悠理は、突然の遥香の大声に驚きを隠せなかった。
「世の中には、生きたくても生きれられない人もいるんだよ!」
遥香の頬を涙が伝った。
「ご、ごめん…。」
悠理は頭を下げてから、
「別に…そんなつもりじゃ…。」
と言った。
「じゃあ、どんなつもり?」
遥香は、悠理をキッと睨むと、
「どんなつもりで軽々しく口に出来るの?」
と言った。
「ごめんなさい…。」
悠理は、謝る事しか出来なかった。
「生きたくても生きれられない人も沢山いるのに、簡単に死にたいとか口にしないでよ!」
遥香は泣き叫ぶように言った。
「ご、ごめんなさい…。」
悠理は、ひたすら謝った。
「…嫌い…。」
遥香は声を震わせながら、
「悠理なんか、大っ嫌い!!」
と叫んだ。
「え?」
悠理は遥香を見つめた。
そして遥香は、走り去ってしまった…。
━━取り残された悠理は、唖然としていた。
「ど、どうしよう…。」
悠理は困った顔をして、
「遥香を怒らせちゃった…。」
と呟いた。
その日を最後に、遥香は電話も出なくなり、メールの返信もなくなった…。