8月8日の約束…
サヨナラの意味
ありがとう
「ゆ、悠理ちゃん…。」
未央奈は悠理を見つめて、
「遥香の代わりに謝ります…。
悠理ちゃんを傷付けて…ごめんなさい…。」
と、頭を下げた。
「未央奈さん…。」
悠理は未央奈を見つめた。
未央奈は、頭を下げたままだった。
「遥香…。」
悠理は声を震わせながら、
「私…怒ってなんて…いないよ…。」
と呟いた。
未央奈の姿に、遥香の姿を重ね合わているようだった…。
「え?」
未央奈は悠理を見た。
「私の方こそ…ごめんなさい…。
遥香の身体の事…何も知らなくて…。」
と、頭を下げた。
「悠理ちゃんは、悪くないよ…。」
と、未央奈が言った。
「……。」
悠理は黙って首を横に振ってから、
「私…何も…気付いてあげられなかった…。
ごめんね…。
ごめんね…。
遥香…。」
と、泣きながら言った。
「みなみさん…。」
と、悠理はみなみを見た。
「どうしたの?」
みなみも悠理を見る。
「守秘義務みたいなのがあるから、答えられないかも知れませんけど…。」
悠理は少し間を置いて、
「手術のあとぐらいから、遥香も色々と忙しいと言って、遥香と予定が合わなかったのって、術後の経過が良くなかったんですか?」
と訊いた。
「手術は成功したわ。」
みなみは悠理を見て、
「術後の検査とか色々あったからよ。」
と答えた。
「あと…。」
今度は未央奈が、
「薬の関係で、顔がむくんだり、げっそりしたりしたから、悠理ちゃんに見られたくなかったみたい…。」
と答えた。
「は、遥香…。」
悠理は、呟くように言った。
「私と…。
私なんかと…」
悠理は声を震わせながら、
「友達になってくれて…ありがとう…。
遥香の…。
遥香の…お陰で…。
私は…前向きになれた…。
ありがとう…。
そして…ごめんね。
ごめんね…。」
と泣いた。
悠理、未央奈、みなみ…。
三人共、遥香の思い出を抱いて泣いた…。
《プルルルル》
悠理の携帯電話が鳴る。
「もしもし…。」
悠理は電話に出た。
『もしもし、悠理ちゃん。』
と、電話の相手━━綾乃は言った。
「綾乃ちゃん、どうしたの?」
と、悠理は訊いた。
『ちゃんと起きてるかなって思って…。』
と、綾乃が言った。
「うん、大丈夫だよ。」
と、悠理は答えた。
『……。』
綾乃は黙っていた。
「綾乃ちゃん、どうしたの?」
悠理が訊いた。
『一年半も一緒にいたから、何だか寂しくて…。』
と、綾乃は言った。
「じゃあ、ゴールデンウィークになったら、遊びに行ってもいい?」
と、悠理は訊いた。
『勿論よ、休み取れるように調整するね。』
と、綾乃は答えた。
「ありがとう、綾乃ちゃん…。」
と、悠理は言った。
『な、何よ…。
急に改まって…。』
綾乃が言った。
「あの日、私を栃木に呼んでくれて…。
ありがとう…。
綾乃ちゃんが、栃木に呼んでくれたから、
私は、大切なモノを取り戻せた…。
大切な友達が出来た…。
本当に…ありがとう。」
と、悠理は言った。
悠理の頬を涙が伝った。
『わ、私は…何も…してないよ…。』
と、綾乃は照れ臭そうに言った。
綾乃の頬にも涙が伝った。
「そろそろ行くね。」
と、悠理が言った。
『うん、気を付けて行ってらっしゃい。』
と、綾乃が言った。
悠理は電話を切った。
━━2020年4月。
大阪市内にある、悠理が借りているアパート。
悠理は大阪の大学に通う為、綾乃のアパートを出て、大阪で一人暮らしを始めた。
━━今日は、大学の入学式。
「遥香…行って来ます。」
と、壁に飾ってある絵に声を掛けた…。
未央奈は悠理を見つめて、
「遥香の代わりに謝ります…。
悠理ちゃんを傷付けて…ごめんなさい…。」
と、頭を下げた。
「未央奈さん…。」
悠理は未央奈を見つめた。
未央奈は、頭を下げたままだった。
「遥香…。」
悠理は声を震わせながら、
「私…怒ってなんて…いないよ…。」
と呟いた。
未央奈の姿に、遥香の姿を重ね合わているようだった…。
「え?」
未央奈は悠理を見た。
「私の方こそ…ごめんなさい…。
遥香の身体の事…何も知らなくて…。」
と、頭を下げた。
「悠理ちゃんは、悪くないよ…。」
と、未央奈が言った。
「……。」
悠理は黙って首を横に振ってから、
「私…何も…気付いてあげられなかった…。
ごめんね…。
ごめんね…。
遥香…。」
と、泣きながら言った。
「みなみさん…。」
と、悠理はみなみを見た。
「どうしたの?」
みなみも悠理を見る。
「守秘義務みたいなのがあるから、答えられないかも知れませんけど…。」
悠理は少し間を置いて、
「手術のあとぐらいから、遥香も色々と忙しいと言って、遥香と予定が合わなかったのって、術後の経過が良くなかったんですか?」
と訊いた。
「手術は成功したわ。」
みなみは悠理を見て、
「術後の検査とか色々あったからよ。」
と答えた。
「あと…。」
今度は未央奈が、
「薬の関係で、顔がむくんだり、げっそりしたりしたから、悠理ちゃんに見られたくなかったみたい…。」
と答えた。
「は、遥香…。」
悠理は、呟くように言った。
「私と…。
私なんかと…」
悠理は声を震わせながら、
「友達になってくれて…ありがとう…。
遥香の…。
遥香の…お陰で…。
私は…前向きになれた…。
ありがとう…。
そして…ごめんね。
ごめんね…。」
と泣いた。
悠理、未央奈、みなみ…。
三人共、遥香の思い出を抱いて泣いた…。
《プルルルル》
悠理の携帯電話が鳴る。
「もしもし…。」
悠理は電話に出た。
『もしもし、悠理ちゃん。』
と、電話の相手━━綾乃は言った。
「綾乃ちゃん、どうしたの?」
と、悠理は訊いた。
『ちゃんと起きてるかなって思って…。』
と、綾乃が言った。
「うん、大丈夫だよ。」
と、悠理は答えた。
『……。』
綾乃は黙っていた。
「綾乃ちゃん、どうしたの?」
悠理が訊いた。
『一年半も一緒にいたから、何だか寂しくて…。』
と、綾乃は言った。
「じゃあ、ゴールデンウィークになったら、遊びに行ってもいい?」
と、悠理は訊いた。
『勿論よ、休み取れるように調整するね。』
と、綾乃は答えた。
「ありがとう、綾乃ちゃん…。」
と、悠理は言った。
『な、何よ…。
急に改まって…。』
綾乃が言った。
「あの日、私を栃木に呼んでくれて…。
ありがとう…。
綾乃ちゃんが、栃木に呼んでくれたから、
私は、大切なモノを取り戻せた…。
大切な友達が出来た…。
本当に…ありがとう。」
と、悠理は言った。
悠理の頬を涙が伝った。
『わ、私は…何も…してないよ…。』
と、綾乃は照れ臭そうに言った。
綾乃の頬にも涙が伝った。
「そろそろ行くね。」
と、悠理が言った。
『うん、気を付けて行ってらっしゃい。』
と、綾乃が言った。
悠理は電話を切った。
━━2020年4月。
大阪市内にある、悠理が借りているアパート。
悠理は大阪の大学に通う為、綾乃のアパートを出て、大阪で一人暮らしを始めた。
━━今日は、大学の入学式。
「遥香…行って来ます。」
と、壁に飾ってある絵に声を掛けた…。