8月8日の約束…
ブランコと美少女
悠理は、栃木県では日向(ひなた)高等学校に転入した。
━━転入してから数日後。
相変わらず悠理は、心を閉ざしていたので、友達は出来なかった。
でも、特に悠理の悪口を言う生徒もいなかったので、少しは気が楽だった。
━━学校の帰り道、いつも公園の脇を通る。
悠理は、何となく公園へ入ってみた。
━━公園は、そんなに広くはなかったが、滑り台やジャングルジムなどはあった。
よく見たら、ブランコもあった。
一般的な形というべきだろうか?
両脇が三角形の支柱でブランコが二つ並んで付いているタイプのものだ。
悠理は、小さな頃からブランコが好きだった。
そして、左側のブランコに腰を掛けた。
━━子供用のブランコなので、当然のように座ると足がしっかり着く。
悠理は、地面に足を着けたまま、ブランコをゆっくりと揺すった。
栃木県に来たのは、今回が初めてなので、当然の事ながら、この公園に来たのも、このブランコに乗ったのも初めてである。
でも、すごく懐かしい気分になった。
ブランコ特有の《ギゴギコ》と軋むように鎖が鳴るのが、全国共通のせいだろうか?
転入したばかりで学校にも馴染めず、精神的に参っていたが、少し気分が和らいだ。
「ブランコ…好きなの?」
と、誰かに声を掛けられた。
悠理は、声のした方を見た。
━━制服を着た、一人の女子高生が立っていた。
身長は、悠理と同じか少し高い、肩よりも伸びているナチュラルブラウンのストレートヘアがよく似合っている、整った顔の美少女だ。
「う、うん…。」
悠理は、小さく頷いた。
「私もブランコ好きなんだ。」
そう言って、少女は隣のブランコに腰を掛けて、
「その制服は日向?」
と続けた。
「うん。」
悠理は頷いた。
━━悠理の制服は青いリボンのついた水色のセーラー服で、スカートの色はグレーだ。
6月になって衣替えの時期なので、半袖タイプだ。
「その制服、可愛いね。」
悠理は少女に言った。
━━少女の制服は、青の短いリボンのついた丸いエリのブラウスに、グレーをベースにしたチェックのスカートという、可愛らしと上品さを併せ持った制服だ。
「地元の子じゃないの?」
と、少女は訊いた。
「うん、東京から来たの…。」
悠理は呟くように答えた。
「だからか…。
この制服、結構可愛くて人気だから、この辺じゃ有名なんだよ。」
と、少女は答えた。
「そうなんだ。」
と、悠理は答えた。
「私、石森遥香(いしもり・はるか)。
欅(けやき)女子高の2年生。」
と、その少女━━石森遥香は言った。
「私は、鈴本悠理…。
日向高校の2年生…。」
と、悠理も名乗った。
「よかったら私と友達になってくれない?」
と、遥香が訊いた。
「え?」
悠理は、遥香を見た。
「駄目?」
と、遥香は見つめ返した。
「私と…?」
と、悠理も遥香を見つめた。
「うん。」
遥香は頷いた。
「気持ちは…嬉しいけど…。」
悠理は、言葉を濁した。
「けど…?」
遥香は、首を傾げた。
「私とは…関わらない方がいいよ…。」
と、悠理は呟くように言った。
「何で?」
遥香には意味が分からなかった。
「私…。」
悠理は少し間をおいて、
「地獄…少女…だから…。」
と言った。
━━転入してから数日後。
相変わらず悠理は、心を閉ざしていたので、友達は出来なかった。
でも、特に悠理の悪口を言う生徒もいなかったので、少しは気が楽だった。
━━学校の帰り道、いつも公園の脇を通る。
悠理は、何となく公園へ入ってみた。
━━公園は、そんなに広くはなかったが、滑り台やジャングルジムなどはあった。
よく見たら、ブランコもあった。
一般的な形というべきだろうか?
両脇が三角形の支柱でブランコが二つ並んで付いているタイプのものだ。
悠理は、小さな頃からブランコが好きだった。
そして、左側のブランコに腰を掛けた。
━━子供用のブランコなので、当然のように座ると足がしっかり着く。
悠理は、地面に足を着けたまま、ブランコをゆっくりと揺すった。
栃木県に来たのは、今回が初めてなので、当然の事ながら、この公園に来たのも、このブランコに乗ったのも初めてである。
でも、すごく懐かしい気分になった。
ブランコ特有の《ギゴギコ》と軋むように鎖が鳴るのが、全国共通のせいだろうか?
転入したばかりで学校にも馴染めず、精神的に参っていたが、少し気分が和らいだ。
「ブランコ…好きなの?」
と、誰かに声を掛けられた。
悠理は、声のした方を見た。
━━制服を着た、一人の女子高生が立っていた。
身長は、悠理と同じか少し高い、肩よりも伸びているナチュラルブラウンのストレートヘアがよく似合っている、整った顔の美少女だ。
「う、うん…。」
悠理は、小さく頷いた。
「私もブランコ好きなんだ。」
そう言って、少女は隣のブランコに腰を掛けて、
「その制服は日向?」
と続けた。
「うん。」
悠理は頷いた。
━━悠理の制服は青いリボンのついた水色のセーラー服で、スカートの色はグレーだ。
6月になって衣替えの時期なので、半袖タイプだ。
「その制服、可愛いね。」
悠理は少女に言った。
━━少女の制服は、青の短いリボンのついた丸いエリのブラウスに、グレーをベースにしたチェックのスカートという、可愛らしと上品さを併せ持った制服だ。
「地元の子じゃないの?」
と、少女は訊いた。
「うん、東京から来たの…。」
悠理は呟くように答えた。
「だからか…。
この制服、結構可愛くて人気だから、この辺じゃ有名なんだよ。」
と、少女は答えた。
「そうなんだ。」
と、悠理は答えた。
「私、石森遥香(いしもり・はるか)。
欅(けやき)女子高の2年生。」
と、その少女━━石森遥香は言った。
「私は、鈴本悠理…。
日向高校の2年生…。」
と、悠理も名乗った。
「よかったら私と友達になってくれない?」
と、遥香が訊いた。
「え?」
悠理は、遥香を見た。
「駄目?」
と、遥香は見つめ返した。
「私と…?」
と、悠理も遥香を見つめた。
「うん。」
遥香は頷いた。
「気持ちは…嬉しいけど…。」
悠理は、言葉を濁した。
「けど…?」
遥香は、首を傾げた。
「私とは…関わらない方がいいよ…。」
と、悠理は呟くように言った。
「何で?」
遥香には意味が分からなかった。
「私…。」
悠理は少し間をおいて、
「地獄…少女…だから…。」
と言った。