自分より大切なもの
佐古
「………俺がどれだけ心配してるのかとかさぁ、どうだっていいんでしょ?」
椿
「なっ………?」
佐古
「そん時はそん時?なに呑気なこと言ってんの?そうやっていっつも好き勝手やってるお前のケツ拭ってやってんの、誰だと思ってんの?」
・・・なにこいつ………何でこんなにキレてんの?
椿
「………だから、気を付けるって言ってんじゃんよ!何回同じ事言わせんの?」
佐古
「てかお前、いつから宮田先生とあんなに親しくなったんだよ。」
椿
「…………は?」
・・・え?宮田先生?宮田先生って言ったよね今?
佐古
「あいつとはあんま関わるな……。」
・・・は?何それ、何でそこで宮田先生が出てくるわけ?こいつの頭ん中どーなってんの?
佐古
「あいつはちょっとやばい奴だから気を付けろ。」
・・・いやいやいや、ちょ待てよ。全く意味が分からん。
椿
「いやマジでスーパー意味わかんない。あんたに関係ないじゃん………」
佐古
「………あんだろ!!」
椿の生意気な態度への苛立ちと宮田への小さな嫉妬心が入り混じり、少し感情的になった佐古は椿の両手を掴み、頭の上へと回した……。
佐古
「あんだろ………?」
小さい声でそう呟いた佐古。この野生動物のような女の子が、毎日いつものように彼を振り回す。身が削れるほど彼女を心配しているという事を、この子は知ってか知らずか……。すっかり溺れてしまっているのだろうか?
じっと彼女の瞳を見つめ、そっと口付けをした。