自分より大切なもの
佐古
「………誰のせいで俺まで冬休み無くなったと思ってんの?この山積みの課題だってなぁ、各教科の先生に頭下げながら回ってやっと手に入れた課題なんだよ。それなのにお前ってやつは……人の苦労も知らずに……。」
そう言うと段々と落胆した表情へと変わっていく。
椿
「……………。」
佐古
「あーあ……ばあちゃんに会うのすげぇ楽しみにしてたのに……。年に一度しか会えないのに……あと何回会えるかなぁ……。」
椿
「ご…ご、めんなさい……。」
佐古
「じゃあ絶対に来いよ?」
椿
「……はい、行きます。」
佐古
「よし、いい子だ。」
・・・何かこいつ、鼻歌歌い始めたけど……もしかして私、ハメられた??
椿
「……せっかくの冬休み無くなって、彼女に怒られないの?」
・・・え?なんでこんなこと聞いてんだろ……別にどーだっていいじゃんそんなこと……。
佐古
「………………。」
ドキっ………………。
・・・何で黙るの……?
担任
「いないよ、そんなの。」
ドキっ………………。
・・・何この感じ……なんだか少し、安心した気がする……。
椿
「へぇ………。」
担任
「なんで?」
椿
「………べつに。」
担任
「あ、そうだ言い忘れてた。ちなみに、あと二人お前と似通った立場のやつらが居たっけ……そいつらも冬休み中来るから、よろしくなー。」
椿
「誰それ?」
担任
「ん~とね……名前忘れた。まぁそういう事だから、明後日から頑張れよ。」
椿
「はぁ…………。」
・・・こうして私の大切な大切な高1の冬休みは地獄と化した。