自分より大切なもの
ー次の日ー
・・・もう来たくなかったけど、ここで諦めるのも気が引ける。
椿は自分の机の端をシャーペンで黒く塗りつぶす。昨日の佐古からの言葉が未だに頭から離れずにいたのだ。そんな椿に気付いた佐古は隣にしゃがみ込んで話しかけた。
担任「どうした、及川?」
椿
「…………。」
椿は目すら合わせようとはしなかった。佐古は椿の持つシャーペンを取り上げ、彼女が書いた落書きの下に、こう書いた。
佐古
『大丈夫か?昨日言った事が嫌だったなら ごめんな』
・・・ごめん?何で謝ってきたんだろ…………。
椿
『別に気にしてない』
佐古
『後で補修が終わったら、少し話そう』
そう書くと佐古はシャーペンを椿に返して教卓に戻っていった。
・・・話?何を話すの………?
佐古からのメッセージを見つめながら、自分の落書きを消しゴムで消す。
佐古の書いた文字を消そうとしたその手は、消さずに消しゴムを机に置いた。
……ドキ………………。
一瞬、胸の奥が少し………熱くなった。