自分より大切なもの



佐古
「お待たせ~~。」




 会計を終わらせた佐古が車に戻ってきた。




寺内
「……と、いう事で、考えといてね。後で電話してくれればいいからね!」



椿 
「はい。」



佐古
「……………?」



寺内
「じゃあ気を付けて帰るんだよ。…佐古先生、椿ちゃんをよろしくお願いします。」



佐古
「はい、今日は本当にありがとうございました。」



椿 
「寺内先生、ありがとう。」



寺内
「うん、あとでね。」



佐古
「では、失礼します。」




 佐古は寺内に軽く会釈をすると、寺内も同じように返した。そして椿にシートベルトを付けたかを確認すると、ゆっくりと走り始めた。




椿
「……あ、お金!お金返す!」



佐古
「んな事、気にすんな。」



椿 
「いやいや、良くないから……私、そういうの本当に嫌だから。」



佐古
「そんな事よりさー、お前……。」



椿
「……なに?」



佐古
「……いや、何でもない。」



椿 
「何だよ、言いかけたなら言えよ。」



佐古
「あの先生と仲いいんだな。」



椿 
「寺内先生?うん、なんて言うか……兄弟みたいな感じかな。」



佐古
「ふ~~~ん……。」



椿 
「なによ……。」



佐古
「……べつに。」




 二人の間にあまり会話は無く、ただ時間だけが過ぎて行った。聞いてみたい事、話したい事が、椿と佐古それぞれにあった。
車の中では、せもてものこの雰囲気を和ますようにFMラジオが流れていた。
二人を乗せた車は、コンビニの駐車場に入っていった。   





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