自分より大切なもの
愛(メグミ)の愛
愛
「何なのよ……みんなして……。」
今朝、椿たちの前から逃げ出したまま家にも帰らず一人街をさまよっていたメグミは、まだイライラしていた。
愛
「ナツキまであんな奴の心配なんかしちゃってさ……むかつくわ。」
マナーモードにしてあるスマホが着信を受け、ポケットの中で振動する。
誰からの着信なのか大体の見当が付いていたメグミは、面倒くさそうに画面を確認した。
『 着信 夏樹 』
愛
「はい……。」
夏樹
「……もしもし?メグ?あんた一体どこに居んのよ!」
愛
「横浜ー。」
夏樹
「椿……軽い傷で済んだってよ、あんたちゃんと謝んなよね!」
愛
「まず謝るのはあいつの方でしょ。」
夏樹
「はぁ……。まだ家、帰ってないの?」
愛
「今日はダルいから帰んない。」
夏樹
「あたし、今から行くよ。」
愛
「……は?いいよ来なくて……。てか今何時だと思ってんの?」
夏樹
「あいつのとこ……行くの?」
愛
「多分ね。」
夏樹
「もうやめなって……あいつとは別れた方がいいってば。」
愛
「……あんたに何がわかんのよ。」
メグミはそれ以上何も言わず電話を切った。
愛
「もう夏樹とつるむの、やめよっかなー。ってかヒトの男の事、言える立場かよ……あんなキモいチャラ男といつまでも付き合ってるくせに……。亮介のこと、あたしが一番よく分かってるから……。奥さんよりも、もっともっと……。」