自分より大切なもの



椿
「…………あー、何か喉乾いたー……。」




 突然、セリフを棒読みした様に椿が言った。





「…………?」



椿
「……お茶でもどうですか。」




 唐突にそう言った椿の手には、飲み物がたくさん入ったビニール袋が握られていた。椿のそんなさりげない優しさが、今の愛のたった一つの救いだった。




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