COLOR~番外編集~
「咲ったら、大丈夫だってー。ちゃんとわかってるから。」

それがおかしくて、俺は声をあげて笑った。


咲は、そんな俺を見てさらに不機嫌になる。




──咲の彼女は、事故に遭って今もまだ眠り続けている。



病室の青い花は可憐に咲いていて、きっと咲が毎日花を変えているのだろう。


咲がどれほど彼女のことを想っているのか、どれほど大切に想い続けているのか。

嫌でも伝わってくる。



「……咲、なんか変わったね。」
「そうか?」

「なんだか、感情豊かになったというか。優しくなったというか。」

きっと、秀ちゃんがそうしてくれたんだね。とベットの上の彼女を見ながら言葉を続けた。


「多分、それだけじゃない。」
「え?」

咲は、何かを思うように遠くを見つめた。

「向こうの……ゲームの世界で。俺の話を聞いて、自分のことのように悩んで、悲しんでくれた奴らがいたから。」

元気で騒がしい奴らだった、となんだか咲は嬉しそうに見えた。



咲はゲームの世界から戻ってきた。

秀ちゃんを見守るために。目覚めるのを横で待ち続けるために。


「学園ラブストーリーは終了するんだろ?」

俺達がいなくなったから、と呟くその顔に後悔は浮かんでいなかった。

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