COLOR~番外編集~

──要くんは、攻略対象外なんだ。だから、咲くんみたいに両想いになったら帰れるとかいう条件はないよ。


─じゃあ、どうしたら帰れるんですか。
─君の場合、しばらく経ったら戻れると思うよ。五年くらいかな。

担当者曰く、前作で咲のことがあったことから案内人は恋愛できないようにしたと。


でも、五年。それは、あまりにも長い。


どうして。俺は、帰りたいのに。



病室で咲と会った日。帰り際に、咲はふっと笑った。

「要、早くいい人見つけろよ。」
それで、早く帰って来て。と言って笑顔を浮かべた。



咲は知らない。俺が恋愛できないことを。
だからこそ、胸に突き刺さる。


咲は、知らなくていい。



俺の気持ちも、俺が恋愛できないことも。
知らなくていいから。




きっと、俺の世界と咲の世界は何かが違うのだろう。

それなら、俺の世界は、きっと。
色褪せたセピア色だ。





『学園ラブストーリー2』

それは、セレーノ学園を舞台とした恋愛ゲーム。
主人公は生徒会を舞台に、三人の攻略キャラと恋をする。



どうせ、帰れないなら主人公の恋愛を邪魔するのもありかもしれないな。

「なんてね。」



冗談めかして呟いた言葉は、確かな本音だった。



             「sepia」fin  
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