COLOR~番外編集~
「最近皆さん忙しいみたいですね。私のところも父上も母上も忙しそうで‥」
なんだか町の人達も忙しそうです、と少女がぽつりとこぼした。
「あぁ、それで、小梅さんも最近お疲れなんですね」
最近顔が浮かなかったですから、と隣りにいる青年が少女の顔を心配そうに覗き込んだ。
「あっ、いや、えっと‥それはですね」
そうじゃなくて、と少女は慌てた様子で手をぶんぶんと顔の前で振った。
その青年の顔を直視できないようだ。
「それは、最近家の手伝いで忙しくて、大和さんに会う時間が減るから寂しかったんです。」
大和さんに会えるだけでも嬉しいですけどね、と少女は幸せそうに微笑んだ。
「‥‥」
「あれ、大和さん?」
手の甲で口元を押さえたまま、黙って何も言わない青年を少女は不思議そうに見上げた。
「‥そういう」
「そういう?」
「‥そういうところですよ!」
そう、勢いよく言い切ると青年は大きくため息をついた。
「な、何か私まずいこと言いました?」
「言ってないです」
言ってないから余計にたちが悪い、と青年は早口で告げた。