COLOR~番外編集~
一体どこの女だよ。塾のクラスメイトか。それとも他の誰かか。

ゆっくりとその相手を見ると…さっきの受付の女の人がニコニコ笑っていた。

…は?

俺は周りを見回す。今、俺の周りに女はいない。目の前の受付の女の人以外には。
ということは、その人が俺をしつこく呼んでいたということになる。

何故?

もしかして、参考書に不備があったとかかもしれない。
さらにしっかりと女を観察すると、結構若い大学生ぐらいだろうか。どうやらアルバイトのようだ。

相手はただニコニコしているだけで、俺は意を決して女に話しかけた。
「なんですか。」
「あっ、やっと返事してくれた。」
「で、なんですか?」

俺は早くカレーパンを買いにいきたいんだよ。
「…咲。」
「は?」

突然、女は俺の名前を口にした。
何で俺の名前を?よくよく考えてみると、女の手には名簿があって、それでわかったのかと理解した。

「君の名前、咲って言うんだね。」
「…はい。」

そうだけど、だから何なんだ。
何なんだ、この女…
< 4 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop