COLOR~番外編集~
「あの、それがどうしたんですか?」

俺は何なんだという不機嫌を隠そうと口角をあげようとした、ようとした。つまり無理だった。俺の返事には女への不機嫌さがとてもよくにじみ出ていた。

だけど
「ううん、特に理由はないんだけどね。」

ないならもうカレーパンを買いにいってもいいだろうか。女は俺の不機嫌さに全く気がつかず、呑気にニコニコしている。
すっごいイラつく。

しかも、話すのがゆっくりで早く結論を言ってほしいのに女はもったいぶる。

「うん、特に理由はないんだけど…」

早く言ってくれよ。

「咲っていい名前だなって思ったの。」

「…は?」

さすがにこの返事は嫌悪感があからさまに出てしまった。
嫌悪感だけでなく、拍子抜けして少し呆れた。
「…嫌味ですか。」

俺の名前への。俺の、女みたいな名前への。

高浜咲。
…俺は、そんな自分の名前が大嫌いだ。
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