Hero and Heroine〜覚醒の時〜
「先輩たちは、紅葉ちゃんに嫉妬してこんなところで紅葉を痛めつけて、嘲笑って、卑怯じゃないですか!こんなことをする人が誰かに愛されると本気で思っているんですか!?」

強気に言い返していた先輩たちは、その言葉で全員黙った。

「紅葉ちゃんの話を聞こうともせず、ただ自分たちの怒りを暴力という形でぶつける…。先輩たちは一体何がしたいんですか?紅葉ちゃんがどんな気持ちでいるのか、考えたことはあるんですか!?」

先輩たちは、黙って下を向く。紅葉は緩くなった腕を振り解き、前のもとへ走った。

「前!ありがとう!!」

その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。初めて人を守れたことに、前は興奮が止まらない。

「いつも助けてくれているから……。それに!」

前は紅葉の手を握った。

「僕だって、何があっても紅葉ちゃんの味方だから!」

そう言った後、前は緊張しながら紅葉に訊ねる。

「あのさ、学校終わった後って僕の家に寄れる?」



前の鼓動は、ずっと高鳴ったままだ。
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