KA大サービス。
つまりコロンブスは旧式艦なのである。

シグマ=ニダ艦長はそれでも大型艦というだけで未だに役立つコロンブスを愛おしく思った。

それから数日後のこと。

コロンブスは軍政部など人員の輸送任務につく。

銀河中央ユニオンが保有する輸送艦はより大型艦もあったが、コロンブスは単艦で長く宇宙での長距離任務につける利点があった。

というよりも宇宙で起こるトラブルは様々なものがあった。病気や戦闘、練習任務、救難など。

銀河中央ユニオンはそれらの辺境宙域の哨戒任務に対してかつてのハンザの旗艦であるコロンブスなど旧式の大型艦を充てていた。

同時にシグマ=ニダ艦長も銀河中央ユニオンの宇宙軍に編入をしたのだ。

シグマ=ニダ艦長は不老不死であり、うってつけだったのである。

とはいえ、シグマ=ニダ艦長の発言力が銀河中央ユニオンで高かった、というとそうでもない。

たとえば宇宙艦コロンブスを愛する名物艦長。というのが実態ではなかったか?

一方でシグマ=ニダ艦長は銀河中央ユニオンが未知の敵に襲われる可能性を考えないわけではなかった。

この点ではシグマ=ニダ艦長はアドミラル提督ら上層部と意思疎通を計っていた。

たとえば今このときもそうだ。

宇宙艦コロンブスの士官室での歓迎の晩餐会。
驚くことに手作りでロブスターといった、ご馳走は丁寧に調理され、ワインを含めその仕事量は膨大といえた。

とはいえ、シグマ=ニダ艦長はワインでは化学合成を採用していたが。

アドミラル提督が満足そうに調理に舌つづみを打つ。軍政部を含む七名ほどの士官が士官室で調理のもてなしを受け、さらに主催者の一員であるシグマ=ニダ艦長のもと主計員が晩餐会の下ごしらえを進めた。

上座にあたるアドミラル提督がまず口を開く。

「ミスラル船はどうだったかね?」
「ベーダ船ですね。

過去起きた宇宙戦争の恐ろしさを改めて実感しました」とシグマ=ニダ艦長。

「実は同型艦は他にも建造されていたのだよ」

「・・・驚きます」とシグマ=ニダ艦長。

「ベーダ船はすでにいくつかの植民惑星などを破壊している。

我々はその阻止が十分にできていなかった」「・・・宇宙は広いですものね」

アドミラル提督はワインに口をつける。

「そして我々は有限だ。
君がうらやましいよ」「ご謙遜を。アドミラル提督の立場は盤石です」

「君がいるからなのだ。

いや君たちと言い換えてもいい」とアドミラル提督。

「深く銀河中央ユニオンを愛していらっしゃる。私ほどの浅慮の人間には率直に感銘を受けます」「君を公然と批判するものは私の敵だ。間違いなく」とアドミラル提督は、言い切る。

シグマ=ニダ艦長は友人、アドミラル提督の厳しくも温かい言葉を受けて今度こそ本物である、ワインを差し上げたいとそう後悔し忸怩たるものがあった。

「話が変わるが軍政部に一度来ないか?」
「コロンブスは、私の手足です」
「間もなく新型艦が建造される。

教育者には広い見聞と教養が必要だと思うのだが?」

続けて。

「過去、私が乗った船はごく小さかった」「アドミラル提督は、あれだけ戦役で活躍されたではありませんか?」

アドミラル提督は首をふる。

「危険な任務だった。
そうだな。コロンブスはどこか心地がいい船だ。
ワインの酔いもある。
腹案だが、聞き流してくれ」
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