2つの声 〜トドケ、ひびけ〜
退院してから半年がたった頃
久しぶりに会う地元の友達と遊んだ。
友達と地元のカフェに向かってた時、
突然、「お前、もう大丈夫なのか?」と友達に言われた。
俺は身体のことだと思い「ふつーに生活できるくらいに治った。」と言った。
すると、「いや、身体の事じゃなくて。お前の彼女のこと。」と心配そうな顔をして言ってきた。
俺に彼女?と意味がわからずに「俺、彼女なんかいたっけ?」友達に聞いた。
「あ、そっか。お前、記憶ないんだっけ…… すまんすまん!聞かなかったことにして。」と笑って、話をそらした。
でも、その話が頭から抜けず、記憶の中を探した。
探しても探しても思い出せない。
ぼーっとしながら歩いてると…
目の前で車が前の車に衝突しているのを見た。
友達はすぐに車のそばに駆け寄り、救急車を呼んでいた。
そんな中…
俺は、パチンっと頭の中のヒモが切れて、無くしていたはずの記憶がスルスルと蘇ってきていた。
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