わたしの願い
「よくない。お姉ちゃんはなにも知らなかったかもしれないけど、お母さんもお父さんもお姉ちゃんのこと嫌いなわけじゃなかったんだよ。小学生のころたまたま聞いちゃったときおもったの。わたしよりお姉ちゃんのほうが大事にされてるって」
「え?」
「どうやって育てたらいいのか、どうしたらお姉ちゃんが立派に育つのか、どうしたら愛って名前にふさわしい人になれるのかとか。
お姉ちゃんはお母さんとお父さんから見放されてるとか、愛されてない、とか思ってたみたいだけど、勘違いだから」
遥は泣いていた。
「本当は誰よりもお姉ちゃんのこと心配してて、大事にしてて、でもそれがうまく伝わらなくて。お姉ちゃんがお母さんたちに対してどう接したらいいのかわかんなかったみたいに、お母さんたちだってわかんなかったんだよ。
お互いがお互いのこと考えてたのに。わたしはそれがみてて歯痒かった」