わたしの願い


あれから授業がはじまってからも俺は上の空だった。


今まで遥ちゃんみたいなタイプは苦手だと思っていた。

でも、俺と同じなのかもしれないって少し思った。

一人でいるのが嫌で、無駄に明るくふるまう俺と。

そうすることで自分は一人じゃないと思って安心する、悲しい人間なのかもしれないと。



さっきみんなの前で愛の写真を見せびらかしたことは許せない。

でも、人を蹴落とすことで自分を見てもらえると思っている遥ちゃんのことが心配だった。




「おい、龍希、大丈夫か?」


「え?」


「授業中もずっとぼーっとしてたから」


そういわれて気づいた。いつの間にか授業が終わっていたらしい。


「ああ、ごめん・・・愛って戻ってきた?」


「いや、まだ」


「俺ちょっといってくる」


きっとまた保健室にいるだろう。

愛の机にかかっている鞄を手にとって俺は駆け出した。

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