わたしの願い
「失礼します」
「あら、寺島くん。あ、藍沢さん?ちょっとまだ熱あって寝てるわよ」
「そう、ですか。あ、これ渡しといてもらえますか?」
「あら、鞄もってきてくれたのね。優しいのね」
「いや、俺は全然優しくなんかないですよ。愛がこうなったのだって俺のせいなんで」
「そうなの。でもきっと藍沢さんはあなたのこと優しいっていうわよ」
「・・・だといいんですけどね。じゃあ俺戻ります」
「ええ。なにがあったのかわからないけれど、藍沢さんのこと守ってあげてね」
「はい」
なにがあっても守る。
それは当たり前。
告白したとき俺は誓ったんだ。
何があっても絶対にひとりにしないって。
そう思っていたのに、愛の抱えている悩みは俺の想像をこえていて、まさか愛がいなくなってしまうなんて思ってもみなかった。