わたしの願い



「愛はさ、進路きめた?」

帰り道、少し寄り道しようとなってカフェに入ったわたしと龍希くん。


「うん、決めたよ」

もう高校3年生。進路について考えなきゃいけない時期だった。


「なに?」

「わたしね、臨床心理士になりたい」

「臨床心理士?」

「うん。悩みを抱えている人たちの手助けをしてあげたいなって。今まで自分がそっちの立場で、たくさんの悩みを抱えてでも誰にも相談できずにいた。でもそういう人たちってたくさんいると思うから。それを助けてあげられたらいいなって」

「愛らしいね」

「わたしにそんなことできるのかって思うけれど、でもきっといろんなことを経験してきたからこそわかるところもあるって思うから」

「うん、愛ならできるよ。応援する」

「ありがとう。龍希くんは?」

「俺は警察官になりたい」

「すごい。龍希くんにぴったりだと思う」

「そう?」

正義感が強くて、優しくて、自分よりも他人を思いやることができる龍希くんならきっとなれるだろう。

「お互い頑張ろうな」

「うん」

お互い頑張ろう。その言葉が今のわたしにとっての励みになった。

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