わたしの願い
「龍希くん、今日は本当に楽しかった。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
水族館でおそろいのキーホルダーを買って、携帯につけた。
こういうことははじめてじゃないのに、今までとは違っておそろいというのがとても嬉しい。
それはきっと愛がとても嬉しそうにそのキーホルダーを眺めてるからだ。
「たかし!!!!」
そのときだった。
女性の悲鳴にも近い名前を呼ぶ声がしたのは。
「っ!」
まだ低学年くらいの子供が道路に飛び出していた。
それに近づいてくる車。
「愛、これもってて!!」
俺はかたまって動けなくなってしまった子供にぶつかるようにして倒れこんだ。
「龍希くん!!!!」
今まで聞いたことがないような愛の声がして、俺はそのまま意識を失った。