わたしの願い
知らなかった想い
愛side
◇
「ピピピ」
無機質な音がずっと鳴り響く病室。
「龍希くん・・」
あれから3日。
龍希くんはまだ目を覚まさない。
命に別状はないらしいけど、倒れこんだときに頭を強く打ってしまったらしい。
「あら、愛ちゃん、またきてくれたのね」
「おばさん・・」
龍希くんのお母さんの妹さん。
龍希くんが病院に運ばれてすぐにかけつけてきたときにはじめて会った。
「本当に申し訳ありません」
あのとき叫んでいた女性だ。
そしてその隣には龍希くんが助けたたかしくん、と呼ばれていた男の子。
「大丈夫ですよ、お子さんが無事でよかったです」
たかしくんは突き飛ばされたので多少ケガを負ったけどかすり傷程度ですんだ。
「わたしの不注意なんです、目を離したすきに道路に飛び出していて、本当に申し訳ありません。大事な息子さんをこんな目にあわせてしまって」
何度も頭を下げるたかしくんのお母さん。
「気にしないでください。龍希が自分から助けにいったんですから。あの子もきっとたかしくんが無事で喜ぶと思います。
たかしくん、今度お兄ちゃん目さめたら、会いに来てあげて?」
たかしくんも事の重大さをわかっているようで、泣きながらうんと頷いた。
そのあと目が覚めたら連絡するといっていったん帰ってもらった。