わたしの願い
「龍希に、愛ちゃんから話してみてくれないかな?」
「え?」
「こんなこと頼むべきじゃないってわかってる。でも、愛ちゃんからなら、龍希はきっと受け止められるんじゃないかって思うの」
「でも・・」
「わたしは今は龍希の母親。でも、お姉ちゃんの妹でもある。龍希のこと大切だけど、お姉ちゃんのことも同じくらい、大好きだったから」
おばさんは静かに涙を流した。
おばさんの気持ち、痛いくらいにわかる。
もう死んでしまった人には一生会えない。
わたしも本当の両親には一生会えない。
でも、心の中にずっといる。
記憶はなくても、愛されていたって知れた。
それだけでわたしは胸に手をあてると幸せな気持ちになれる。
龍希くんも、もう2度とお母さんには会えない。
このまま、お母さんのことを憎んだまま、愛されたことを知らないまま、前のわたしみたいになってほしくない。
きっとお母さんの想いを知れば、心の中にある闇、がなくなってくれる。
だから・・
「わかりました」
わたしはそう答えていた。