わたしの願い
文化祭
愛side
◇
あれから龍希くんは無事退院し、そのまま2学期を迎えた。
「龍希くん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ、ほら」
そういって腕と足をぶんぶん動かす。
本当になにもなくてよかった。
あのまま龍希くんが死んでしまっていたらと思うと、それだけでぞっとする。
「ああ、でも学校とかぶらなくてよかったような、悪かったような・・」
「よかったよ。だって大事な時期だもん」
「まあそうなんだけどさ、ちょっとさぼってみたかったななんて」
「たしかにそれもそうだね」
「え?」
「ん?」
「いや愛がめずらしいなって思って」
たしかにそうかもしれない。
今までのわたしだったら学校をさぼるっていう発想さえなかった。
ひたすら勉強をしてみんなに認めてもらうのに必死で。
「たまにはいいかなって」
「そっか。じゃあ今日このままさぼる?っていいたいところだけど・・・それはやっぱり受験が終わってからにしよ」
でも龍希くんもなんだかんだ真面目だから。
「うん、そうしよう」
受験が終わったらめいいっぱい遊びにいける。
それまでの辛抱だと思って頑張ろう。