わたしの願い
「愛ちょっとこっちきて」
葉月ちゃんに名前を呼ばれた。
奏ちゃんもいて少しだけにやにやしているのに嫌な予感がした。
「どうしたの??」
「愛はさ、この学校のジンクスしってる??」
「ジンクス?」
「そう。文化祭2日目にあがる花火を一緒にみると一生一緒にいられるってやつ」
そういえば、そんなの聞いたことがある。
3年生にもなって知らないなんてよっぽどそういうのに興味がなかったんだなと思う。
「それがどうしたの?」
「どうしたのって!寺島くんともちろんみるんでしょ??」
「え?」
「はああ、愛ってほんとそういうの考えてないんだね」
「だって、そういう話してないから・・・」
「だと思って!ここはさ愛から一緒にみよっていってみなよ」
「・・え?」
「きっと寺島くんよろこぶと思う」
「愛はさ、もっと甘えたりさわがままいったりさしていいと思うの」
ずっと黙っていた奏ちゃんがここでようやく口を開いた。
「女の子なんだからね、ほら、わたしメイクとか教えてあげるし、文化祭楽しもうよ」
にやにやしていたのはこれか。なんだかんだで楽しんでいるのは奏ちゃんのほうだ。
文化祭は9月のおわり。
すでにやることも決まっていて準備もすこしずつだけど夏休みあたりから進んでいる。