わたしの願い



「愛ーいくよー!」

「まって!」

文化祭当日。

わたしたちのクラスはアイスクリーム販売。

もうすぐ10月だというのに暑さが続いているので売れ行きはすごくよかった。

わたしたちの当番がおわって、これから葉月ちゃんと奏ちゃんとまわるんだ。

「どこいこっか?」

「お化け屋敷とかいってみたい!」

「ええ、こわそう・・」

奏ちゃんがぶるぶる震える中、いかにも余裕そうな顔の葉月ちゃん。

「愛は?どう?」

「わたしも・・いってみたいかも」

ちょっと怖い気持ちはあるけど、でもこのまえ2人にいわれた楽しもうよって言葉があったからいってみたいなって思える。

「ええ、まじか愛まで・・じゃあいくよ・・」

しぶしぶながら奏ちゃんも賛成。

お化け屋敷は人気なのか列ができていたのでそこに並ぶ。


「順番どうしよっか?」

「わたし、絶対真ん中!真ん中以外ならいかない!」

「どんだけ怖いのよ。所詮高校生がつくったお化け屋敷なんだから」

「もう!そんなこといってるとばちあたるよ!」

奏ちゃんの必死な姿をみているとむしろ落ち着く。

自分よりもだめな子がいるとなんだか無性な安心感がするから不思議だ。


「はいはい。愛は、どっちがいい?」

「うーん・・じゃあ最後にする」

「おっけ」

後ろと前どっちが怖いのかなんてわからないけど、でもこの発言をあとでものすごく後悔した。


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