わたしの願い

「たのしかったね。やっぱり全然怖くなかったわ」

「「・・・・・」」

「あれ、愛もやっぱりだめだった感じ??」

「・・・うん」

違う、途中までは意外と大丈夫だったんだ。

先頭をいく葉月ちゃんは前に突然人があらわれても平気な顔。

それに続く奏ちゃんは終始「ぎゃあ、むり!!!」と叫んでいた。

わたしもわたしでそんな2人の違いを面白がりながらみていたんだけど・・

「最後のあれが・・」

「ああ、あれね。たしかにあれは最後怖かったよね」

最後の最後で頭に包丁が刺さって血を流している人がさらに包丁をもって全速力で追いかけてきたのだ。

もちろん作りものなのはわかってる。

でもあの暗闇の中で全速力で追いかけられる恐怖はたまったもんじゃなかった。

「でも、たのしかった」

楽しかったのに嘘はない。
お化け屋敷なんて人生ではじめて入ったけど、怖い中に面白さもあったから。

「愛がそう思ってくれてよかったよ。ね、奏?」

「・・・うん」

いまだに涙目な奏ちゃんが少しかわいい。


「ほら、次はじゃあ奏が行きたいところいこうよ、元気だして」

「え!?ほんと!?えーとね、じゃあね、んーやっぱりここかな!」

「立ち直りはや」

さっきまでが嘘かのように奏ちゃんは元気になって走りだした。

「しかたない、いこっか」

「うん」

ああ、楽しい。すごくたのしい。

葉月ちゃんと奏ちゃんと仲良くなれて本当によかった。
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