わたしの願い
龍希side
◇
「お前ほんと生きててよかったな」
「おう、ありがと」
さんざんクラスのみんなから心配されて、よかったねといってもらってまたこれだ。
でもそれくらい昴も心配してくれていたと思うと嬉しくなる。
「愛ちゃんひとりにするわけにはいかないもんな」
それに昴は愛のことも心配してくれてるからありがたい。
「当たり前だ。俺は愛を残して死んだりしない」
「ひゅー、かっこいいね龍希くんは」
「本当に、思うんだ。死ななくてよかったって」
昴の軽口をスルーして答えると昴も真剣な顔になった。
「死んだらさ、どうなるんだろうな。俺考えたことなかったけど、でも今回のことでわかった。人って本当にいつなにがあるかわかんないんだよな。運命ってなんだろうな」
「そうだな。でも、だからこそ面白いよな人生って。なにがあるかわかんないし、楽しいことだけじゃなくてつらいこともたくさんあるけど、でも人はそれでも生きていくんだもんな」
「不思議だよな。俺たちがこうして出会ったことも、俺と愛が出会ったことも、全部」
「だな。運命ともいうし、それを奇跡、ともいうのかな」
「お前が言うとちょっときもいな」
「おい!せっかく人が真剣に答えてるのに!」
「わるいわるい」
昴の言葉は俺の胸にたしかに響いた。
奇跡、か。
どれもこれも、今までのことも全部奇跡。
人生は奇跡の連続なんだと。