わたしの願い



「龍希くん、ちょっといい?」

「どうしたの?」

「あのさ、もうすぐ文化祭・・じゃん??」

すごく言いにくそうな愛に不安が募る。

一緒に回れないとかいわれるのかなとか。

「そのさ、2日目に花火・・あげるじゃん?あれ、一緒にみない?」

でも違った。反対だった。

少し恥ずかしそうにいう愛がものすごくかわいい。


「うん。みる」

「よかった」

「どうしたの、愛から誘ってくれるなんて」

「それは・・聞かないで」

「うん、わかった」

ちょっとからかいたくなったんだけど、昴と違って愛はそういうのに慣れてないからやめた。

「たのしみにしとく」

「うん、わたしも」

愛はしってるのかな?

この学校のジンクス。

俺は去年昴からきいた。

文化祭2日目にあがる花火を一緒にみると一生一緒にいられるっていうジンクス。

去年の文化祭時期も愛とはすでに付き合ってたけれど、そういう話にならなかったし、いまほど打ち解けてなかったからなにもいわなかった。

もし愛が知っていて俺にいってくれたならすごく嬉しい。

文化祭にうきうきするのははじめてだった。
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