わたしの願い



「いってらっしゃい。気を付けてね」

「いってきます」

お母さん、遥に見送られてわたしは家をでた。

昨日はお母さん特製のトンカツを食べてゲン担ぎをし、鞄には遥からもらったお菓子を入れ、龍希くんのお守りはポケットに入っている。

完璧だ。あとは受かるだけ。

それだけの努力はしてきたつもりだ。

勉強を頑張ってきたおかげで推薦はとれたし、ポイントアップに繋がる資格もいくつかもっていたのでこれまでの人生も無駄ではなかったと思える。

試験会場につくとすでにたくさんの人がいて、その中から自分の席を探して座る。

心臓が今までにないくらいドキドキしているのが自分でもわかる。

その気持ちを落ち着かせようと深呼吸をして、龍希くんからもらったお守りをぎゅっと握り締めた。


大丈夫、大丈夫。


目を閉じると応援してくれるみんなの顔が浮かんできてだいぶ気持ちが落ち着いた。



「それでは、はじめてください」

試験がはじまった。

まずは小論文1時間。

わたしはもう一度深呼吸をして問題を開いた。
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