わたしの願い
「昴はさ、馬鹿だけどさ、いいやつだよ。あいつはちゃんとまわりをみてるし、人の気持ちを考えられるやつだし。それに、だめだとわかってることは絶対にしない。人が嫌がることは絶対にしない」
「龍希くんがそんなほめるなんて珍しいね?」
「俺さ、この学校転校してきてよかったなって思うことはさ、愛と出会えたことはもちろんなんだけど、昴と一番最初に仲良くなれたことなんだ。昴はさ、愛のこと最初は誤解してたけど、ちゃんとわかってくれた。
それにほかのやつらは遥ちゃんと比べて愛のことかわいそうだっていったけど昴は遥ちゃんと比べることはなかった。ちゃんとはじめから、愛は愛としてみてくれたと俺は思ってる。だからこうして俺は今も昴と仲良くいれるんだと思う」
「そんなことあったんだね。わたしも1.2年で愛の噂聞いてたとき、たしかに愛はそういう子なんだって勘違いしてた。でも3年生になって愛をみたとき全然イメージと違うって思ったんだよね。まあそれは龍希くんと付き合ったっていうのもあるのかもしれないけど。
ああ、この子と仲良くなりたいなって直感で感じたの」
「わたしも。葉月から藍沢さんに話しかけに行かない?っていわれたとき、全然いやじゃなかった。むしろこの子が笑った姿をたくさんみてみたいって思って。どんな表情をみせるんだろうってすごいわくわくした気持ちが強くて。
でもやっぱり正解だった。愛と仲良くなれて本当によかった」
「2人ともそんな風に思ってたんだな・・・ありがとう。俺がお礼いうのもおかしいけど、でも愛と仲良くなってくれてありがとう」
この2人がいてくれたおかげで、ずいぶん愛は明るくなれたと思う。
自分の気持ちをうまく言葉にできるようになれたと思う。
俺だけではきっと今の愛は存在しなかった。