わたしの願い
わたしと遥はひとつ違い。
生まれたときから一歳までの記憶なんてもちろんわたしにはなくて、遥が生まれた瞬間からきっと全部の愛情が遥にいってしまった。
たしかに、わたしと遥は正反対だった。
昔から目が悪く眼鏡をかけていて今まで染めたことのない真っ黒な髪にぱっとしない顔。
人見知りだからなかなか人と絡めずに、まわりから暗い子って言われ続けてきた。
それに比べて遥は高校入学と同時に髪を茶色く染め、化粧をしている。
でも遥は化粧をしなくてもかわいかった。
ぱっちりした目に長いまつげ、肌は白く、顔立ちもはっきりしていた。
それでいて人当りがよくて明るく、誰からも好かれていた。
わたしは遥がうらやましかった。
可愛いからとか、性格が明るいからとかそんなことじゃない。
誰かに愛されているということが、羨ましかった。