わたしの願い
龍希side
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愛が屋上からでていったあとも俺はここから動けなかった。
さっきまですぐ近くにいたのに、抱きしめていたときの感触がまだ残っているのに、愛はいってしまった。
愛の妹がはじめて俺のクラスに来た日、なんとなく抱えていることがわかった気がしていた。
きっと妹と比べられながら生きてきてつらかったんだろうなとか。
でも、球技大会の日、愛されてこなかったといった愛の気持ちなんて、正直俺はこれっぽちもわかってなかった。
俺が愛と呼んだときの驚いた顔。
まるで自分の名前を忘れていたかのような。
愛の目からあふれる涙をみたとき、俺はその小さい体を抱きしめていた。