わたしの願い


「俺のことも、話していいかな?」


「はい」


「俺は、たしかに愛と違って愛されてきた記憶もあるんだ。でも小学生のときに親が離婚した。原因は父親の浮気。あれほど、幸せだと思ってきた家庭が一気に崩れた気がした。

母さんはすごく優しかった。離婚する前は専業主婦でずっと家にいてくれて、俺は母さんが大好きだった。でも、父親の浮気が原因で離婚した後、母さんは人が変わったんだ」


思い出したくもないことだったけれど、愛が真剣に聞いてくれてるのをみて俺は意を決して続きを話した。


「最初はまだ普通だった。ただ生活を支えるために働きにでるようになってからだんだん帰りが遅くなって。それは働いてるから仕方ないって思ってたんだけど、違った。

母さんは外で何人もの男と関係を作ってたんだ。
俺が家に帰ると酒の匂いとたばこの匂いがすごくて。部屋は散らかっていてごはんもなかった。

でも、机のうえにいつもお金が置いてあったから俺はそれでごはんを買って食べるようになった。

母さんとほとんど顔を合わせることもなくなって、たまにみかける母さんは化粧が濃くて、俺が知ってる母さんじゃなくなってた」

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