わたしの願い
「龍希くん!」
そばまで駆け寄ると、警察の人もいて詳しい事情を聞かせてくれた。
「家で血を流して倒れていたんです。包丁で刺されたらしく、出血多量でした。たまたま近所の人がこの家からでてきた男がすごく慌てたようにでていくのを見かけて、それで気になって家を訪ねたらドアが開いていて入ってみたら倒れてるのを見つけて通報してくれたんです。
ただ、刺されたところも悪く、救急車で搬送されて病院にいったときには死亡が確認されました。
犯人はたぶん顔見知りだろうということで、近所の方の証言をもとにいま全力で探しています」
「そう、ですか・・」
「それで、こんなことすぐ聞くのも大変申し訳ないのですが、犯人に心あたりなどはありませんか?」
「俺は・・・最近全然母さんとも会ってなくて、わかりません」
「そうですか、わかりました」