未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

後日見学もできるし、様々な行事の折に部活紹介もあるとは言われたが、それぞれの部活の説明はほとんどなかった。


「次は特別教室についてですが……」


先生はどんどん説明を続けるが、私は話が耳に入らなくなった。


だって、バスケ部がないなんて。
ううん、このプリントが間違ってる?

私は妙な焦りを感じているのに、こっそり盗み見た海里くんは特に表情を変えている様子もない。


その日、授業が終わるとすぐにスマホで並木高校について調べた。
しかしそこにも〝バスケットボール部〟の記述はない。


「ホントに?」


今度は【並木高校 バスケ】と検索をかけて唖然とした。

十年ほど前に部室での選手の喫煙が発覚して、なんと廃部になっていたのだ。

しかも、特に強かったわけでもないバスケ部は、その後も復活することなく今に至るようで……。


「知ってたの?」


海里くんは、それを知っていてこの高校に来たの? 
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