未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

プリントを配られたとき顔色ひとつ変えなかった彼が、バスケ部はないと知っていた可能性もある。


でも、どうして?


あれほどうまいのだから、プロを目指していても不思議じゃない。

それなら、少しでも強い高校に行くでしょ、普通。


疑問で頭がいっぱいになりながらも、一度も話したことがない海里くんに尋ねるなんて、私にはハードルが高すぎてできなかった。



その日も、一度家に帰ってから公園に出かけた。

いつものようにボールが跳ねる音がして、ちょっとホッとした。
バスケ部のない高校を選んだ彼は、バスケをやめるつもりではないかと心配していたからだ。

この公園で練習をしているということは、きっと海里くんも近くに住んでいるのだろう。
隣の中学だったのかも。

私はいつもの木の陰から、彼が練習するのをしばらく見ていた。
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