未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。
今日はずっとドリブルを繰り返している。
といっても単調にボールを叩いているわけではなくリズムを変えたり、低い姿勢で小さなドリブルを繰り返したり。
見ていると右利きのようだけど、左手も巧みに使って、おそらくディフェンスが目の前にいることを想定して練習をしている。
しかし、バスケは団体競技だ。
ドリブルだけでなくパスは重要な要素だし、練習するのにも実際のディフェンスがいたほうがいい。
それなのにどうして海里くんは部活のない並木高校に入ったの?
ますます疑問が深まるばかりで、首を傾げつつ見ていた。
でも、やっぱり彼のプレーを見ていると励まされる。
それから西の空がオレンジ色に染まるまでたっぷり楽しみ、帰宅した。
「明日も、いるかな?」
学校であんなに近い距離にいるのに、話しかける勇気はない。
けれど、公園で見ているだけで満足だった。