未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

「そうなんだ! 私、順平先輩のファンだったの。何度もバスケの試合を見に行って、握手もしてもらったことがあるんだよ。ホント、うまかったよね」

「ありが、とう」


お礼を口にしながら、これで話を切り上げて!と心の中で祈る。
けれど、無理だった。


「でも、残念だったよね。順平先輩、白石さんをかばって事故に遭ったんだよね」


そう言われた瞬間、目の奥が熱くなってきたのを感じる。

ダメ。泣いたらダメ。
必死に自分に言い聞かせて唇をかみしめる。


しかし、どうしたってあの瞬間――トラックが突っ込んできた瞬間の光景が、スローモーションのように頭の中で再生され、しかも頭や口から血を流す兄の顔まで浮かんできて、体が震えてくる。

もうやめて。兄の話をそんなに簡単に口にしないで。
しかも、事故のことまで……。


心が悲鳴を上げていたが、『やめて』と言えないほどうろたえていた。
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