未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

百五十五センチしかない私が交ざったら、圧倒されそうだ。


「すごー」


しかし、その小さめの男の子のキレがすごい。
自分より大きな人を相手に巧みにボールを操る。

壁のように立ちふさがる大きな相手のちょっとした隙をつき、ドリブルで突破。
そしてあっという間にシュートを決める。


「ちょこまか動くな、海里(かいり)」
「それ、褒めてるんですか? それとも、小さいってけなしてます?」
「褒めてるに決まってるだろ」


こめかみから汗を滴らせて白い歯を見せる『海里』と呼ばれた男の子は、自分のTシャツの裾を持ち上げてタオル代わりに汗を拭いている。


「すごい腹筋……」


そのとき、チラッと腹筋が割れているのが見えて、恥ずかしくなって目を伏せた。


サラサラの黒髪が汗で濡れているが、爽やかさ全開。

黒目がちなアーモンド形の目を持ち、鼻もすらっと高い。
もちろんスタイルは抜群で、モデルでもしているのではないかと思うほどだ。
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