未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

「はー、ムカつく」


海里くんに股抜きされた人が、ガクッと肩を落としている。


「先輩、まだまだですね」
「言うな、お前」


みんな、バスケが好きでたまらないというような爽やかな笑顔を見せる。

海里くんが気になってずっと見つめていると、一瞬目が合ってしまった。


「あっ……」


しまった。見ていることがバレた。
私はすぐに視線をそらし、公園から走り去った。


「恥ずかし……」


思いっきり海里くんのことを目で追ってたわ、私。

走りに走って家の前に到着すると、ようやく足を止めて上がった息を整える。


「かっこよかった」


目が合ったときは心臓が止まりそうになり逃げてしまったけれど、小さな体で大きな相手をサクサクかわしてシュートを決める姿にはドキドキした。

事情があってずっとバスケを見ないようにしてきた。
しかし、思わぬ形で目の当たりにして、血が騒ぐ。


やっぱり私はバスケが好きだ。

そんな気持ちを再確認した。
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