未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

翌日は、真夜中の雷雨のせいか少し空気がひんやりしていた。

もしかしてあの公園に行ったら、またスリーバイスリーをやってないだろうか。
海里くんは、いないだろうか。

夕方になりそんな気持ちでいっぱいになった私は、久しぶりに足がもつれて転びそうになるほど、全力疾走した。


「はぁ、はぁ……」


公園が近づいてきたとき足を止めて呼吸を整えようとしたのは、〝ドン〟というバックボードにボールがぶつかる音がしたからだ。

誰かいる。

今日は昨日のように話し声は聞こえてこない。
ただ、ドリブルの音が続く。

そしてそのあと、カサッという小さな音のあとに、ボールがバウンドする音が響いた。


「スウィッシュ?」


スウィッシュというのはリングにあたることなく入ったシュートのこと。
これが決まると、本当に気持ちいい。

足音を立てないように公園に近づいていくと、海里くんがひとりだけいた。
彼は黙々とドリブルやシュートを繰り返している。
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