未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

「うまいな……」


レイアップ――ランニングシュートの一種でゴールの上にボールを置いてくるようなシュート――はもちろん軽々とこなしているし、リングの下を通過してから、うしろ向きにシュートをするレイバックもまったく外さない。


もちろん今はディフェンスがいないので試合のときよりは簡単だけど、フォームがとにかく美しい。

何度やっても姿勢が崩れることなく、正確にシュートが決まる。

レイアップやレイバックは基本のシュートだが、バスケはこれが正確にできないと始まらないのだ。


「どこのチームの選手なんだろう」


彼は高校生なのかな?

あんなにうまければ試合でも目立つだろうに。
よく試合会場に足を運んでいたはずの私にも記憶にない。

不思議に思いながらも、少し離れた場所からずっと観察していた。

どうしてだろう。
海里くんのバスケ姿を見ると、胸に熱いものがこみ上げてくる。
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